口腔外科とは
口腔外科とは、口の中や顎、顔面、その周りの組織の病気を扱う診療科です。
歯に関連する病気のほか、がん、交通事故による外傷、スポーツ外傷、顎変形症、唾液腺の病気など、非常に幅広い領域を持ちます。
また、口腔がんの切除手術のように、大規模な設備と人員が必要なケースが少なくありません。
口腔外科医は、外科手術、術後管理、抗がん剤のような薬品の投与などにも関わります。
そのほか、顎の変形や口の中の状態に起因する発音障害のように、生活の質や心身に悪影響を与える病気の治療やケアも行います。
口腔外科のトラブル
親知らずのトラブル
親知らずは、正常に生えることもあれば、歯茎から一部だけ飛び出したり、横向きや斜めに生えたりすることもあります。
現代人は歯の生えるスペースが不足しやすいといわれており、4本の親知らずがすべて正常に生えてくるケースが減ってきています。
親知らずが少しだけ生えている場合は、歯垢や歯石が溜まりやすいことでむし歯や歯周病のリスクが高まります。
横向きに生えている場合は、周りの歯を押すことで歯並びを悪くすることもあるなど、状態次第では早期の対処が必要です。
特に、歯茎に炎症が起きて痛みが生じている場合には、抜歯が必要になります。
親知らずのトラブルは生活に大きな支障をきたすケースが少なくないため、早めにご相談いただくことをおすすめします。
口腔内のケガ
転倒やスポーツ事故、交通事故などが原因で、口の中やまわりに怪我をした場合も口腔外科で治療します。
歯の破折、顎の骨折、頬の内側や舌、唇の擦り傷や切り傷に対応できます。
口腔内のできもの
口内炎のような口腔内のできものを治療します。 初期の口内炎は自然に治る可能性が高いですが、食事に支障をきたす恐れがあります。
口腔外科では、口内炎の症状を和らげる処置を行えますので、お悩みの方はお早めにお越しください。
また、悪性腫瘍の中には口内炎に似ているものもありますので、口腔内の腫れに気づいた時点で一度ご相談いただくことをおすすめします。
舌の痛みやしびれ
舌の痛みやしびれは、生活習慣の改善で症状が和らぐ可能性があります。
また、必要に応じて薬を用いた治療をご提案いたします。
原因によって対処法が異なりますので、まずは歯科医院で詳しい検査を受けていただくことが大切です。
専門的診療
当院では、口腔外科において次のような専門的診療をしております。
口内炎
口内炎の原因は、ストレスや睡眠不足、唾液不足、鉄分やビタミン不足、口腔内が不衛生、金属アレルギー、カビ・ウイルスなど多岐にわたります。
口内炎の原因を突き止めて適切な治療を行わなければ、改善が期待できません。そのため、事前の適切な診査・診断が必要です。
治療法には、軟膏の塗布、内服薬の服用などがあります。口内炎に似ている口腔がんもあるため、お早めにご相談ください。
歯ぎしり
歯ぎしりは寝ている間に起こるため、パートナーや一緒に寝る人がいないことで気づくのが遅れるケースが少なくありません。
歯ぎしりを放置すると、肩こりや顎の疲れ、痛み、顎関節症の悪化、頭痛やめまい、歯のすり減りやひび割れ、知覚過敏、歯周病の進行など、さまざまな問題が起こり得ます。
顎関節症
口を開けると顎の関節が鳴る、顎が痛い、口が前よりも開かなくなったといった場合は、顎関節症が疑われます。
放置すると、肩こりや首のこり、頭痛、腰痛、身体のしびれなど、全身にさまざまな症状が現れる可能性がありますので、早めの対処が必要です。
原因は、顎関節の骨の異常、筋肉の異常、軟骨の異常などさまざまなため、事前の診査で原因を突き止める必要があります。
ドライマウス
口腔乾燥症(ドライマウス)とは、唾液の分泌が減少することで口の中が乾き、細菌が増えやすくなる状態です。
水分不足による口の渇きが原因のものと、唾液腺の異常や全身疾患が原因のものに分けられます。
ドライマウスを引き起こす全身疾患には、シェーグレン症候群があります。
まずは、原因を特定するための診査・診断が必要なため、口腔外科を受診してください。
歯の移植
歯を失った場合の治療法には、入れ歯やブリッジ、インプラントなどがあります。
そのほか、歯の移植(歯牙移植)も選択肢の1つです。
親知らずや機能していない歯を移植することで、歯を失ったところの機能を回復させます。
自分の歯を使用するため、審美性や機能面に優れています。
アレルギー反応が起こる心配もほとんどありません。
ただし、治療できる条件が限られており、成功率が100%ではないため、まずは歯科医師から詳しい話を聞くことが大切です。
口腔感染症
口腔感染症は、口の中に起こる感染症のことで、むし歯や歯周病もその1つです。
放置すると重大な感染症を引き起こし、歯を失ったり強い痛みが生じたりする恐れがあります。
例えば、むし歯は神経に達すると強い痛みを生じますが、放置して神経が死ぬと痛みが消失します。
しかし、時間が経つと膿が溜まって、再び強い痛みが生じる場合があります。
歯周病も初期段階では歯肉に軽度の炎症が起こるだけですが、放置すると顎の骨にまで炎症が広がります。
その結果、外科的な切開および排膿が必要になるケースが少なくありません。
口腔内感染症は自分で気づきにくいため、定期健診で早期発見・早期治療を意識することが大切です。
親知らず
親知らずは、最も奥に生える歯です。
そのため、十分なスペースがなく、斜めや横向きに生えてくるケースが少なくありません。
また、骨の中に埋まっていたり、一部だけ露出していたりするケースもあります。
まっすぐに生えていない親知らずは汚れが溜まりやすいため、むし歯や歯周病のリスクが高まります。
放置すると強く痛む場合もあるなど、早めに対処した方がよい症例です。
歯茎の中に親知らずが埋まっている場合は、歯茎を切開したり骨を削ったりする必要があります。
親知らずの抜歯のような外科手術は、信頼できる口腔外科で受けることが大切です。
フルマウス(全顎治療)
当院では、口全体をトータル的に治療する「フルマウス(全顎治療)」で対応しております。
むし歯や歯周病で歯を失った場合は「インプラント治療やブリッジ、入れ歯による治療」、
歯並びに問題が起きている場合は「ワイヤー矯正やマウスピース矯正」というように、
そのときに起きている問題を解消すべく、複数の治療法を複合的に組み合わせます。
フルマウスは、一時的な症状の消失を目的とした対症療法ではなく、原因から改善していく根本的な治療とも言えます。
例えば、歯を1本だけ治療する場合に、他の歯や口全体を観察したうえで、そのときに必要な治療をご提案いたします。
さらに、患者様のライフステージや生活習慣まで踏まえ、広い視野をもって治療計画をご提案します。
そのためには、患者様との密なコミュニケーションが欠かせません。
さらに、治療方針や治療状況などは常に患者様にお伝えし、必要に応じて計画を調整しながらベストな治療を行うこと意識しております。